2011年2月23日水曜日

清見


「今の時代は皆が最高に贅沢をしている。私は(昔の)大変な時代も生きてきた。今の様な時代もあれば、必ず”裏”が来る。そうなった時に、厳しい暮らしに慣れていない今の人達はきっと大変な思いをする。」85歳、一人暮らしの彼女は言う。
 全ての物語が実体験から語られる彼女との会話は、聞いているこちらをまるで今その光景を見ているかの様な気持ちにさせる。優しく、重く、そして過去の因習に雁字搦めになった彼女の一言一言。
 日本人が栄華を極めた私たちの親の世代。そしてその子供達が親になる時代がきた。彼女の言う”裏”の時代の兆しが何となく見え始めてきている今の日本で、私たちはこれから何を見、何を体験するのだろうか。一生懸命に生きなくても世界トップクラスの暮らしができる今の暮らし。それは先人達の努力の積み重ねで得た豊かな生活のはずであったが、その反面には苦労知らずという新たな傷跡が残ってしまった。この負い目をまず認識することがこれからの若い世代にいかに重要か?、無視できない真意を聞いたような気がした。





2011年2月17日木曜日